多彩で奥行きのあるフランス料理
ひと口にフレンチといっても、正式なマナーが要求されるオートキュイジーヌから大衆的な郷土料理まで、そのメニューは星の数ほどあるといっても過言ではないでしょう。
また、諸外国と接しているフランスの地域性から、地方によっても使われる食材や調理法が大きく異なるのがフレンチの特長です。
そんな多彩で奥行きのあるフランス料理の中から、日本でも人気のある南仏プロヴァンス地方の料理や、ワインで有名なブルゴーニュ地方、スイス国境に近いサヴォワ地方の料理の中から代表的なメニューを見ていきましょう。
豊富な食材を使うプロヴァンス料理
日照量が多いプロヴァンス地方では農作物がよく育ち、地中海で獲れた魚も豊富なことから、多彩な郷土料理があります。
味付けには、ニンニクやオリーブオイル、タイムやローズマリーなどのハーブ、そしてワインを使うことが多く、イタリア料理や北アフリカ料理の影響を色濃く残しているのが特長です。
代表的なメニューにプティ・ファルシーという野菜の肉詰めがあります。
トマト、ピーマン、ズッキーニに、主に子羊肉を詰めてオーブンで焼いたものです。
マルセイユの名物料理ブイヤベースは、日本でもおなじみですが、フランスでは岩場の魚を複数種類使うのが一般的です。
魚を煮たブイヨンスープにニンニク、トマト、フェンネルなどのハーブ類を入れて作ります。
フランス版おふくろの味とも呼ばれるラタトゥイユは、ナス、ピーマン、ズッキーニ、トマトをオリーヴオイルで炒め煮したもので、家庭料理の副菜として欠かせません。
その他にも、マヨネーズソースが美味しいアイオリや羊のモツ煮、塩鱈のクリームペーストなどが有名です。
ビストロで人気の郷土料理
フランスの家庭料理を代表する肉料理といえば、ブッフ・ブルギニョンというブルゴーニュ地方発祥の牛肉の赤ワイン煮込みです。
ブッフとは牛肉、ブルギニョンはブルゴーニュ風という意味で、地元の赤ワインをたっぷり使った牛肉の煮込みは、ビーフシチューを思わせるメインディッシュになっています。
現地ではマッシュポテトを添えて食べるのが一般的で、ブッフ・ブルギニョンとブルゴーニュワインの相性の良さは言うまでもありません。
スイス国境に近い山岳地帯のサヴォワでは、フォンデュ・オ・フロマージュやラクレットといった乳製品の料理が有名です。
いずれも溶かしたチーズを生ハムやじゃがいも、パンなどと一緒に食べるチーズ料理で、最近は日本の気軽なフレンチビストロでも人気のメニューとなっています。